東野圭吾の長編小説「マスカレード・ナイト」 を遅ればせながら図書館でゲットし読んだ。
私は現役時代に物販の営業をかなり担当しましたが、ホテルのフロント営業はとてもできそうにないと感じました。それに語学力もありませんし。
東野氏は、スキー場とホテルが大好きなんですね。
集英社単行本(ソフトカバー)2017年9月15日刊行。「マスカレード」シリーズの第3弾で、書き下ろし単行本。
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第1弾は「マスカレード・ホテル」・・・集英社単行本2011年9月9日刊行、集英社文庫2014年7月18日刊行。
第2弾は「マスカレード・イブ」・・・いきなりの集英社文庫2014年8月21日刊行。
※ マスカレードとは、英語でmasquerade「仮面舞踏会」のこと。
本シリーズで取材協力した中央区日本橋蛎殻(かきがら)町2-1-1「ロイヤルパークホテル」(三菱地所100%の(株)ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツが経営。当ホテルは1989年6月開業) が「ホテル・コルテシア東京」のモデルとなっている。
警視庁捜査一課刑事・新田浩介と、ホテル・コルテシア東京のコンシェルジュに昇格していた山岸尚美が再会し活躍する。所轄署で協力してくれた能勢刑事が捜査一課に栄転した。
練馬で若い女性が殺害された不可解な事件。ホテル・コルテシア東京の大晦日に開催されるカウントダウン・パーティに、練馬殺人事件の犯人が現れるという一通の密告状が届いた。
そして刑事の新田がまたもやホテルマンとして潜入捜査。コンシェルジュの山岸は要注意人物らしき客からの無理難題に応えるのだった---。
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■ 東野圭吾氏の長編著作(2013年以降)と私のブログ
「夢幻花」(PHP研究所2013年4月、PHP文芸文庫2016年4月・・・柴田錬三郎賞)
「加賀恭一郎シリーズ 祈りの幕が下りる時」(講談社2013年9月、講談社文庫2016年9月・・・吉川英治文学賞)、
(東宝映画2018年1月公開)
「疾風ロンド」(実業之日本社文庫2013年11月)、(東映映画2016年11月)
「虚ろな十字架」(光文社2014年5月、光文社文庫2017年5月)
「マスカレード・ホテル」(集英社2011年9月、集英社文庫2014年7月)、(東宝映画2019年1月公開)
「ラプラスの魔女」(KADOKAWA2015年5月、角川文庫2018年2月)、(東宝映画2018年5月公開)
「人魚の眠る家」(幻冬舎2015年11月、幻冬舎文庫2018年5月)、(松竹映画2018年11月公開)
「危険なビーナス」(講談社2016年8月、講談社文庫2019年8月)
「マスカレード・ナイト」(集英社2017年9月)
「雪煙チェイス」(実業之日本社文庫2016年11月) 未読
「恋のゴンドラ」(実業之日本社2016年11月、実業之日本社文庫2019年10月) 未読
「魔力の胎動」(KADOKAWA2018年3月) 未読
「ガリレオシリーズ 沈黙のパレード」(文藝春秋社2018年10月) 未読
□ 東野圭吾氏の主な訴求テーマ
「夢幻花」(2013)・・・生命工学(バイオテクノロジー)・原子力工学の光と影。
「加賀恭一郎シリーズ 祈りの幕が下りる時」(2013)・・・成り済まし。
「疾風ロンド」(2013)・・・新型感染症・生物兵器。
「虚ろな十字架」(2014)・・・犯罪被害者遺族・死刑制度。
「ラプラスの魔女」(2015)・・・予知能力・脳細胞移植。
「人魚の眠る家」(2015)・・・脳死・臓器提供。
「危険なビーナス」(2016)・・・後天性サヴァン症候群・動物実験。
「マスカレード・ナイト」(2017)・・・性同一性障害(GID)。
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■ あらすじ
「マスカレード・ホテル」での事件から数年後。警視庁の「匿名通報ダイヤル」からの情報提供により、練馬のワンルームマンションで若い女性の他殺死体が発見された。被害者・和泉春菜は妊娠しており、被害者宅に出入りする男性の姿が複数の人物に目撃されていた。しかし、警察は被害者の周辺を徹底的に捜査するも、未だにその男性の身元を特定することはできずにいた。
警視庁に1通の密告状が届いた。『警視庁の皆様 情報提供させていただきます。ネオルーム練馬で起きた殺人事件の犯人が、以下の日時に、以下の場所に現われます。逮捕してください。12月31日午後11時 ホテル・コルテシア東京 カウントダウン・パーティ会場 密告者より』。密告状には男女2人の隠し撮り写真が同封されていて、女性は和泉春菜、男性にはモザイクが掛けられていた。
シリーズ第1弾「マスカレード・ホテル」で潜入捜査した警視庁捜査一課刑事(警部補)・新田浩介が、再び上司に指名され潜入捜査することになった。
所轄の品川警察署で協力してくれた能勢刑事が捜査一課に栄転。先行して捜査していたことから新田刑事は情報を聞く。
前作で新田とコンビを組んでいた、ホテルコンテルシア東京に勤める山岸尚美は、ホテルの受付業務であるフロントクラークから、お客様の様々な要望を聞いて対応するコンシェルジュに抜擢されており、「ホテルマンに『無理です』は禁句」という信念のもと無理難題にも果敢に健闘する。
二人はホテルに訪れる様々な仮面を被った客の中から殺人犯を見つけ出すことができるのか――。
12月28日から新田はフロントクラークに化けて1階フロントに立つことになった。だが、本作で登場する氏原祐作(うじはら・ゆうさく)フロントオフィスアシスタントマネージャーというプロフェッショナル。氏原は新田を毛嫌いしているかのように次々に駄目出しをするとともに、新田にはフロント業務をやらせない。
ホテルコンテルシア東京のカウントダウン・パーティの正式名称は『ホテル・コルテシア東京年越しカウントダウン・マスカレード・パーティ・ナイト』、略称は『マスカレード・ナイト』で、定員500人の予約制仮装パーティ。
12月29日、日下部篤哉(くさかべ・とくや)という宿泊客が、今夜19時から予約しているフレンチレストランを貸し切りにし、ディナーの相手にプロポーズするためレッドカーペットを敷き両側に108本の薔薇を並べ中央に指輪を仕込んだ演出を、尚美に認めさせようとする。この時期のレストラン貸し切りは無理難題。尚美は代替案を出す。ところが今度は日下部のお相手らしき狩野妙子が現れ、諸般よりプロポーズにノーと答える方法を考えてほしいと持ち掛け、流石の尚美も困惑頻り。そこに新田の話がヒントとなり尚美は答えを見つけたのだ。妙子が薔薇に代わって妙子からのスイートピーが飾られた。その花言葉は「門出、優しい思い出」だった。
フロントに彫りの深い美人、仲根緑(なかね・みどり)と名乗る客がやって来た。予約名は仲根伸一郎、クレジットカードの名義はマキムラ。
狩野妙子との空振りから束の間、今度は仲根緑を見かけた日下部が一目惚れをしたから会食をセッティングしてくれと尚美に頼む。勿論、尚美は断るが代替案として、二人切りで話ができる場を用意することになる。同席していた新田はあの女性には連れがと口を滑らせたが、日下部は構わないと言う。ところが、緑の部屋をハウスキーピングする際に、新田と尚美も一緒に部屋に入ると、二人連れで泊まっているように見せ掛けていることが濃厚となった。さらに防犯カメラをチェックしても緑以外に誰もあの部屋には入っていなかった。
午後11時丁度に『マスカレード・ナイト』が始まった。