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6/7(火)昼から映画でも観ようという気になった。
2012年秋までは、浅草六区ブロードウェイ通り(台東区浅草2丁目)には「中映劇場」「名画座」「新劇場」と再映館が軒を並べていたが、
再開発のため全て畳(たた)まれたため、私の楽しみが消えてしまった。
都区内の再映館では、その「中映劇場」(台東区浅草2-9-13)の他、飯田橋「ギンレイホール」(新宿区神楽坂2-19)、高田馬場「早稲田松竹」(新宿区高田馬場1-5-16)、池袋「新文芸坐」(豊島区東池袋1-43-5)をこれまで利用して来た。
今回は、Webでチェックし、「ギンレイホール」(1974年に開館)を選んだ。
メトロ銀座線・上野広小路駅で乗り換え、都営大江戸線・牛込神楽坂駅で下車して神楽坂通りを散策した。
帰途は、営業マンの時間調整スポットである、懐かしの駅前ビルのセントラルに立ち寄り、都営大江戸線・飯田橋駅から乗車。
今日のウォーキング5,800歩。
「ギンレイホール」は久しぶりだ。
これまでのブログ
ギンレイホール--映画「ゴーストライター」「ミケランジェロの暗号」(2012/2/16)
ギンレイホールへ行って来ました--映画「英国王のスピーチ 」「ジュリエットからの手紙」(2011/9/1)
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今回の番組[6/4(土)~17(金)]は、ハンガリーの「サウルの息子」とフランスの「ディーパンの闘い」。
2015年(第68回)カンヌ国際映画祭で、グランプリとパルムドールを受賞した二作品。
前者は、ナチス・ホロコースト計画実行の収容所内部の虐殺を再現しようとする生々しく活写した作品。
後者は、スリランカ内戦から逃れてパリに偽装入国した難民生活を再現しようとする作品。
比較すると前者の迫真に惹かれた。
平日火曜の昼とあって、私のようなシルバーの男女が多く、盛況(8,9分の入り)だった。
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■ 「サウルの息子」
原題: 「SAUL FIA」
製作: 2015年ハンガリー
配給: ファインフィルムズ
監督: ネメシュ・ラースロー・・・ハンガリー出身の38歳・新進気鋭。
脚本: ネメシュ・ラースロー、クララ・ロワイエ
□ キャスト
ルーリグ・ゲーザ(ブダペスト出身の詩人・小説家): サウル
モルナール・レヴェンテ: アブラハム
ユルス・レチン: ビーダーマン
トッド・シャルモン: 顎髭の男
ジョーテール・シャーンドル: 医者
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□ あらすじ
1944年
4~11月 58万人を超えるユダヤ人がアウシュヴィッツに到着。
8月 第二強制収容所(ビルケナウ)の家族練に収容されていたユダヤ人の最後の処刑が行われる。殺害された総数は2万人。
10月 ゾンダーコマンド(収容所の雑役をさせるために選抜されたユダヤ人で、数カ月用役された後に抹殺)。
ゾンダーコマンドによる武装蜂起。ガス室を備えた複合施設「クレマトリウム4」を破壊するが、まもなく鎮圧された。
1944年10月、アウシュヴィッツ(基幹・第一)=ビルケナウ(第二)に強制収容されたサウルは、ナチスに選抜されたハンガリー系のユダヤ人。
同胞をガス室に送り込み、死体処理に従事する特殊任務(背中に赤く×印の雑役夫)ゾンダーコマンドとして働いている過酷な現実。彼らは人間としての感情を押し殺すしか術が無い。
或る日、サウルは、ガス室で生き残った少年を発見して、自分が妻以外の女性に産ませた息子だと直感する。しかしその息子は、サウルの目前で息の根を止められてしまう。
サウルは、ユダヤ教の教義・作法(火葬は死者が復活できないとして禁じられている)に則(のっと)って手厚く埋葬してやろうと、
ゾンダーコマンドのユダヤ人医師に遺体を解剖しないように懇願し、同じくゾンダーコマンドの中からラビ(ユダヤ教の聖職者)を何とか探そうとする。
極限状態におかれても尚も最期まで人間としての尊厳を貫き通そうと、その収容所内を駆け擦り回る2日間を活写する。
そんな中、ゾンダーコマンド達の間には収容所脱走計画が秘密裏に進んでいた。
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■ 「ディーパンの闘い」
原題: 「Dheepan」
製作: 2015年フランス
配給: ロングライド
監督: ジャック・オーディアール 「真夜中のピアニスト」「預言者」「君と歩く世界」など数々の名作を手がけるフランスの名匠
脚本: ノエ・ドゥブレ、トーマス・ビデガン、ジャック・オーディアール
□ キャスト
アントニーターサン・ジェスターサン(スリランカ内戦の元兵士で、フランスに亡命後に作家として活動): ディーパン
カレアスワリ・スリニバサン: ヤリニ
カラウタヤニ・ビナシタンビ: イラヤル
バンサン・ロティエ: ブラヒム売人たちのリーダー
ユスフ:マルク・ジンガ
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□ あらすじ
スリランカ内戦
1983~2009年に展開されたスリランカ政府と「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE) による内戦。
政府軍がLTTE支配地域を制圧して26年の長きに亘る内戦は終結した。
「タミル・イーラム解放の虎」の元兵士ディーパンは、妻子を失い失意の底にいた。
内戦下のスリランカを逃れるため、難民家族を偽装してパリへの移住許可を取得し易くしようと、
難民キャンプで本当は妹の居るロンドンに行きたい若い女性ヤリニと、父母を失った孤児の少女イラヤルを探し当てる。
海外移民の斡旋事務所を訪れたディーパンは、赤の他人のヤリニとイラヤルとともに家族となって出国する。
三人は辛うじて難民審査を通り抜けると、パリ郊外の集合団地の一室に腰を落ち着ける。
ディーパンは団地の管理人、ヤリニは痴呆症が表れている独居老人ハビブの面倒を見る家政婦の仕事に夫々有り付き、聡明なイラヤルは地元の小学校特別学級に通い始める。
フランス語を覚え始めたイラヤルは、徐々にディーパンに懐いて行く。
ヤリニは、料理は得意だが子育て経験がなく、どのようにイラヤルに接していいのか? ディーパンとの男女の関係を受け入れていいか? 不安の日々。
昼間は外で強制送還だけは避けたいと必死に家族を装い、夜は一つ屋根の下で他人に戻る。
ヤリニは、ハビブの家で彼の甥ブラヒムと出会う。ブラヒムは、団地内で麻薬を密売するグループのリーダーらしく、足には警察が取り付けたGPS。
やがて、新たな暴力、麻薬取引抗争に巻き込まれて行く。
ディーパンは、偽装家族に愛と絆を感じて立ち上がる。