NHK-Gスペシャル 「人類誕生」
■ 4KCGなどの映像制作
スクウェア・エニックスから発足した、田畑端率いるLuminous Productionsが担当。
■ 出演
□ 番組ナビゲーター
俳優・高橋一生
NHKアナ・和久田麻由子・・・ナレーションも兼任。久保田祐佳アナととてもよく似たヴォイス)
□ ゲスト
国立科学博物館名誉研究員: 馬場悠男
■ アフリカのか弱い生き物に過ぎなかったサルが、なぜ700万年の間にヒトへと進化できたのか?
驚きと謎に満ちた人類進化の壮大な物語を、最新科学で解き明かす全3回シリーズ。
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■ 第1集「こうしてヒトが生まれた」
初放送日: 4/08(日) 21:00〜21:49
リブログ
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■ 第2集「最強ライバルとの出会い そして別れ」
初放送日: 5/13(日) 21:00〜21:49
□ ホモ・サピエンスとネアンデルタール人の出会いと共存
およそ20万年前に生まれたホモ・サピエンスは、アフリカを旅立ち中東へと足を踏み入れた。
5万5千年前、中東の深い森の中で別種の人類ネアンデルタール人と出会った。最強のライバル登場。
1万年に亘って同じ土地に暮らしたことが分かって来た。
2015年、イスラエル北部のマノット洞窟で5万5千年前のホモ・サピエンスの頭蓋骨が発見され、
また僅か40kmの距離にあるアムッド洞窟で同時代のネアンデールタールの頭蓋骨が発見された。
隣り合って生きていたことを示す史上初めての証拠。
共通の祖先ホモ・ハイデルベルゲンシスから進化し、
ネアンデールタールは、先にアフリカを出てユーラシア大陸の主にヨーロッパで進化を遂げた(30万年前)。
ホモ・サピエンスは、その10万年後にアフリカで誕生した(20万年前)。
やがてホモ・サピエンスもアフリカを出た直後に、中東の森でネアンデールタールと出会った(5万5千年前)。
近年、ゲノム研究が進み、最新のDNA解析により、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスが交配していたことが判明。
彼らとの混血で獲得した遺伝子が、私たちの進化に大きく貢献したことが分かって来た。
かつては、両者は対立していたと考えられていたが、実は共存していたことが浮かび上がっている。
しかし、出会いから僅か1万数千年後にネアンデルタール人は絶滅。
生き残ったのは華奢(きゃしゃ)な身体のサピエンスだった。
なぜ私たちの祖先だけが生き残ることができたのか?
カギを握っていたのは、ホモ・サピエンスの「弱さ」とそれを補うために進化させた「協力」だった。
ネアンデルタール人とホモ・サピエンスがヨーロッパで繰り広げた大逆転劇。その全貌を明らかにする。
□ ネアンデルタール人とは何者か?
ネアンデルタール人は、私たちホモ・サピエンスに最も近い人類の仲間。
40万年前頃に私たちと別れ、ユーラシア大陸で独自の進化を遂げた。
最大の特徴は、強靭な身体。レスラーのように筋肉隆々で、マンモスやバイソンなど大型動物を狩る屈強なハンターだった。
寒冷地(氷期のヨーロッパ)に適応した胴長短足の体型に進化していた。
骨に多数の傷が残っており、狩りの仕方が肉弾戦だった証拠。
さらに近年、新発見が相次ぎ、言語を操り高度な文化を持っていた可能性が高くなった。
2016年、フランスのブリュニケル洞窟で、ネアンデルタールによる奇妙な鍾乳石(400片)のモニュメント、世界最古のストーンサークル遺跡。
脳の大きさを推定すると、ホモ・サピエンス1,350ml VS ネアンデルタール1,490ml (10%大きい)。
舌骨・耳小骨からしゃべる能力があった可能性が高い。
文化的な行動を行っていた証拠として、スペインの遺跡から貝殻のペンダント、クロアチアの遺跡から鷲爪のブレスレット、フランスのレ・コッテ遺跡から獣皮を加工するリソワール(バイソン骨器)が相次ぎ発見された。
しかし、体力と知性を兼ね備えながら、およそ4万年前に絶滅した。
□ なぜホモ・サピエンスだけが生き残ったのか?
ネアンデルタール人に比べると、私たちホモ・サピエンスは華奢(きゃしゃ)で、力もひ弱だった。
にも拘(かか)わらず、祖先たちが生き残ることができた秘密は、実はその弱さにこそ因果関係が有った。
弱いからこそ小動物など安全な狩りを行うことができる道具を生み出し、仲間同士で力を合わせる「協力」を高めたのだ。
4万3千年前のヨーロッパ草原において、石器の革新、アトラトルと呼ばれる飛び道具の発明。
フランスのカスタネ遺跡では大人数(150人規模)、ロシア・ウラジミール地方のスンギール遺跡(3万5千年前、400人規模)の集落生活 ⇒ 社会の形成。
情報共有による道具の改良。多岐に亘った食材、ローズマリーなど香辛料を使った楽しむ食事。
フランスのショーヴェ洞窟では、原始的宗教を思わせる、死者の埋葬品など装飾品の進化と死後の世界を描いた壁画
⇒ 4万年前には、共に歌い踊りシャーマンによる儀式を行うことで繋がりを深めた。
一方のスペインのエル・シドロン洞窟でネアンデルタールは小人数(20人規模)の家族生活。
獣肉中心の食材。
そうして人口を増やしていったことで、脳の進化が促され、ホモ・サピエンスは全く新たな力「想像力」を獲得したと考えられている。
□ ヨーロッパを襲った地球規模の気象異変「ハインリッヒ・イベント」
北アメリカを覆っていた巨大な氷の塊が大西洋へと崩落
海流が変わりヨーロッパの気温が急変し乱高下を繰り返した。
森は消え生き物は激減した。
ホモ・サピエンスは宗教で結ばれた集団間の交流によって、数千人規模の社会を形成した。
ネアンデルタールは孤立し減少して行った。イギリス領ジブラルタルのゴーラム洞窟が終焉の地だったのではないか。謎のハッシュタグ。
□ ドイツ・ライプチヒのマックス・プランク進化人類学研究所
ロシアの洞窟、クロアチアのヴィンディヤ洞窟で発見されたネアンデルタール人骨から、14年掛けてDNAを復元し、現代各国人のDNAと比較すると、アジアやヨーロッパ人に約2%のネアンデルタールのDNAが確認された。ヨーロッパ1.8~2.4%、アジア2.3~2.6%、アフリカ0%。
交配は、アフリカを離れた小規模だった早い時期、5万5千年前の中東の森で。
例
アフリカには無かったヨーロッパ特有の風土病に対するウイルス免疫遺伝子HLA
日射量の少ない地域に適応した白い膚の高緯度適応遺伝子BNC2