本作は、次男役の新井浩文事件のため公開延期となりお蔵入りも危ぶまれていたが、限定の形で公開が決まった。
私は近日中に観賞する予定なので事前スタディした。その詳細を掲載したい。
映画「台風家族」公式サイト
「箱入り息子の恋」「僕らのごはんは明日で待ってる」「ハルチカ」の市井昌秀監督の、構想に12年かけたオリジナル脚本。
草彅剛、MEGUMI、中村倫也、尾野真千子、藤竜也らが演じるひとクセある家族たちの姿を、ブラックユーモアを交えて描いたコメディドラマ。
或る一家の真夏の1日を描いた。たった1日の中に“苦笑”と“共感”そして“衝撃の愛のラスト”が詰まっている。
本作品は、当初は6月に公開予定だったが、派遣型マッサージ店の女性従業員への強制性交罪で起訴され、2日に初公判を控える新井浩文被告(40)が主要キャストとして出演しており公開延期となっていた。しかし、ファンからの公開を希望する声に応え、再編集なしで3週間の限定公開が決まった。
■ 概要
製作: 日本2019年/108分/PG12
配給:キノフィルムズ
劇場公開(限定): 2019年9月6日(金)~9月26日(木)
■ スタッフ
原作: 市井点線 [本名: 市井昌秀・早苗ご夫妻]・著の「台風家族」
キノブックス単行本2019/5/22刊行
監督・脚本: 市井昌秀
市井昌秀氏は、富山県射水市生まれ、漫才グループ「髭男爵」の元メンバー。
妻の早苗氏は、女優の今野早苗(栃木県生まれ)。
製作総指揮: 木下直哉
プロデューサー: 武部由実子/中林千賀子
ラインプロデューサー: 傅野貴之
制作担当: 高橋輝光
撮影: 灰原隆裕
編集: 森下博昭
音楽: スパム春日井
主題歌: 名古屋出身の4人組バンド・フラワーカンパニーズ「西陽」
ニューアルバムCD「50×4」に収録・・・自主レーベル:チキン・スキン・レコード、リリース2019/9/4
「台風家族」の監督・市井昌秀からのラブコールを受け書き下ろされた楽曲。
作詞・作曲を手がけた鈴木圭介(Vo)は---
「オファーを頂いて、ラッシュを1回だけものすごく集中して観て、その興奮と感触を忘れないうちに曲にしました。歌詞は映画の内容に沿わせ過ぎず、かつ離れすぎないように書きましたが、結果、自分の事を歌ってしまいました」と楽曲についてコメントしている。
なお「西陽」は、フラワーカンパニーズが9月4日にリリースするニューアルバム「50×4」に収録される。
鈴木圭介(Vo) コメント
「オファーを頂いて、ラッシュを1回だけものすごく集中して観て、その興奮と感触を忘れないうちに曲にしました。歌詞は映画の内容に沿わせ過ぎず、かつ離れすぎないように書きましたが、結果、自分の事を歌ってしまいました。偶然ながら同じ鈴木家だし、監督のOKが出たので大丈夫だったんですよね(笑)?」
市井昌秀 コメント
「『攻めて下さい』そうお願いしたら、フラワーカンパニーズさんは泥臭く繊細な持ち味を残しつつも、自らの「好き」に忠実な曲を産み出してくれました。それは僕が、自らの「好き」に忠実な映画を作ったことと同じです。主題歌「西陽」が映画「台風家族」とこんなにも溶け合っているのは、そこにあると勝手に思っています。」
■ 撮影ロケ地
撮影時期: 2018年6月下旬~7月下旬
東京都足立区竹ノ塚保木間
栃木県栃木市藤岡町
栃木県佐野市
栃木県那須塩原市永田町/塩原/百村
■ キャスト
草彅剛: 鈴木小鉄・・・長男
甲田まひる: 鈴木ユズキ・・・長男・小鉄/その妻・美代子の娘
[幼少期]井上風宇子
7歳時、祖父母の強盗事件をきっかけにマスコミに囲まれている父・小鉄を発見。でも学校では、おかげで一躍人気者に。「ユズキのじいちゃん、強盗したんだろ?!」「カッコイイ!」と。16歳時、ピアノコンクールで大賞獲得。留学の話も出るがリストラされた小鉄を前に経済状況から一人悩んでいる。
MEGUMI: 鈴木麗奈・・・長女、ナイスバディ
若葉竜也: 佐藤登志雄・・・長女・麗奈の彼氏
20歳時、レストランに就職。アルバイト女性と恋仲に。童貞を捨て性の喜びに目覚める。次々とバイト店員を口説いたことがバレてクビになる。25歳時、AV男優になろうかと悩んでいた頃、渋谷のバーのマスターに気に入られ転職。29歳時、バーにフラリと入って来た麗奈を気に入り、わざと赤ワインを零して近づく。
新井浩文 < 強制性交罪で起訴⇒保釈中 > : 鈴木京介・・・次男、携帯アプリ会社社長
中村倫也: 鈴木千尋・・・三男、フリーター
藤竜也: 鈴木一鉄・・・鈴木一家の父
榊原るみ: 鈴木光子・・・鈴木一家の母
29歳時、勤めていた工場の上司の葬儀で働いていた一鉄と出会う。光子の方が一鉄に先に惚れる。30歳時、二人で光子の両親に挨拶に行くが、葬儀屋に嫁がせることに反対されるが、押し切って結婚。子供が中々授からない。37歳時、一鉄の父の死の一カ月後の月命日に念願の長男・小鉄が誕生。
長内(おさない)映里香: 富永月子・・・謎の女
6歳時、飲んだくれで浮気性の父の申し出で両親が離婚。母と二人暮らしとなる。中学生時、身長が高いからと強引にバレー部に誘われる。人から強く求められると断れない性格。だが万年補欠。高校生時、母の負担を考え学業以外はアルバイトに費やす。奨学金取得可能な国公立大学を目指し見事合格。
相島一之: 山田稔・・・地方銀行員
斉藤暁・・・萬福寺住職
西野凪沙
紙袋を覆面代わりに被った老人・鈴木一鉄が地方銀行で2000万円もの大金を強奪した。
金ピカの宮型霊柩車で逃走し、妻・光子と共に行方を眩(くら)ました。
強盗事件はアッという間にニュースになったが、老夫婦の行方も、霊柩車も、奪われた2000万円も不明のまま月日は過ぎて行った──。
時は流れ2018年。台風が近づく或る夏の日。
鈴木小鉄は妻の美代子と娘のユズキを連れて実家へと車を走らせていた。
10年前に銀行強盗をして世間を騒がせた両親の葬儀に参列するためだ。
葬儀といっても、死体はおろか霊柩車すら見つかっていない。
にも拘わらず形式的な葬儀をする理由は、兄弟で財産分与を行うためだった。
すっかり朽(く)ち果てた実家に一番乗りで到着したのは小鉄たちだ。
葬儀屋を併設した古びた二階建ての日本家屋、表札には「鈴木一鉄」とある。
店のシャッターには「盗人」「バカ」などとペンキで描かれ、当時の記憶が蘇(よみが)える。
鈴木家の居間には空っぽの棺桶が2つ並び、小さな写真立てには28年前の両親が映っている。
暫(しばら)くして長女の麗奈がやって来て、更に遅れて次男の京介がやって来る。
麗奈は両親の事件のせいで離婚、現在、付き合っている男性はいるが独身だ。
程なく住職の萬福寺さんがやって来て、“見せ掛け" の葬儀が始まり、遅れて次男の京介も到着する。
兄の小鉄とはあまり仲は良くなく、小鉄が遺産を独り占めしようとしているのではないかと勘ぐっている。
残るは兄姉から可愛がられていた末っ子の千尋だが、なかなか姿を現さない。
葬儀開催のハガキが届いていないのだろうか……。
葬儀が終わって待てど暮らせど、千尋がやって来る気配はなく、仕方なく3人で財産分与についての話し合いをすることにする。
「預金や保険も一通り調べたけど、大した額じゃないから、遺産はこの家と土地だけだ」と、いかにも長男らしく振る舞いその場を仕切ろうとする小鉄。
どんな仕事も長続きしない彼にとって「遺産」という二文字は何にも代えがたいほど魅力的だったのだ。
おまけに少し前、勤務中に玉突き事故に巻き込まれてムチ打ちになり、首にはサポーター、頭には包帯が巻いてある。
何としても遺された家や土地をお金に換えたい、一番多く貰(もら)いたい、というのが小鉄の本音だ。
財産分与について話し合う最中、玄関のインターフォンが鳴る。ようやく千尋が来たのだろうか?
しかし、そこに立っていたのは千尋ではない、茶髪のチャラチャラした男だった。
見知らぬ訪問者によって、話し合いは思いがけない展開に転がって行く。
兄弟同士がこれまで溜めて来た想い、小鉄とユズキの間にある親子の溝、そして10年前に両親が起こした強盗事件の背景に何があったのか?
刻々と台風が近づく中、鈴木家にも嵐が渦巻いていた……。