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この春、我が夫婦は外出していない時間帯には、海外ミステリードラマ、特に英国刑事ドラマに嵌(はま)っている。
チャンネルとしては、ケーブルテレビ(CATV) = J:COMの「AXNミステリー」とNHK-BSプレミアムが殆ど。
元々は、J:COMを契約した2014年には、地デジで中継されないプロ野球の応援チーム「オリックス・バファローズ」の試合を全部観ようと思ったから。
ところが知っての通り、昨年に続いて今年も開幕からボロボロに負けてばかり。
ストレスが増えるばかりなので、ウェイトを海外ドラマにシフトしている。
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これまで夜型の私(夫)は、「シャーロック」「ミス・マープル」「フロスト警部」「バーナビー警部」などを観ていたところ、
オリックスの試合に傷心の妻にもそれらを進めた。
そのうち、彼女は「名探偵ポアロ」「刑事フォイル」「主任警部モース」が面白いと熱中し始めたのである。
その結果、夫婦揃ってミステリー三昧(ざんまい)の日々となっている。
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今回は、その中から「主任警部モース」をアレコレ整理してみた。
主人公の主任警部モースE.Morseを演じる
英国俳優ジョン・ソウJohn Edward Thaw (声・横内正)は、
1942/01/03 Longsight,Manchester ~2002/02/21 Wiltshire。
1942/01/03 Longsight,Manchester ~2002/02/21 Wiltshire。
CBE(英帝国勲爵士,1993年5月)。
妻シーラ・ハンコック(死別)、娘アビゲイル・ソウ。
1990, 93年の2度、BAFTA (British Academy of Film and Television Arts)のベスト・アクター賞を受賞し、ITVとTV Timesなど数々の受賞。
シェイクスピアの舞台や他の映画でも活躍。
2001年6月、食道ガン告知。2002年2月、ウィルトシアの自宅で死亡。
好対照の相棒、部長刑事ルイスLewisを演じるのは、ケヴィン・ウェイトリーKevin Whately (声・岩崎ひろし)。
その他の主なレギュラーとして、監察医マックス、上司のストレンジ警視正。
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原作: コリン・デクスターColin Dexter
・・・本名ノーマン・コリン・デクスター。1930年英国生まれ。
・・・本名ノーマン・コリン・デクスター。1930年英国生まれ。
ケンブリッジ大学クライスト・カレッジ卒 ⇒ グラマー・スクール古典学講師 ⇒ オックスフォード地方試験委員会副書記。
クロスワード・パズルの有名な製作者で、英国で3度チャンピオンを獲得。
長編13、短編1の計14編から構成され、和訳本は、「ウッドストック行き最終バス」「カインの娘たち」「死はわが隣人」「悔恨の日」などがハヤカワ・ポケット・ミステリから刊行されている。
長編13、短編1の計14編から構成され、和訳本は、「ウッドストック行き最終バス」「カインの娘たち」「死はわが隣人」「悔恨の日」などがハヤカワ・ポケット・ミステリから刊行されている。
モース・シリーズの第1作は1975年の「ウッドストック行最終バス」。続く「死者たちの礼拝」「ジェリコ街の女」で、CWA(英国推理作家協会)賞シルバー・ダガーを受賞。「オックスフォード運河の殺人」「森を抜ける道」で、CWA賞ゴールド・ダガーを受賞。
オックスフォードのシティ・セントラルにある観光アトラクション「オックスフォード・ストーリー」に、名誉市民として金文字で銘記されている。
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TV制作: 英国ITVのゼニス・プロ
1987/1/6~2000/11/15で全33話を放送。
日本: NHK-BS2、AXNミステリーチャンネルでデジタルリマスターHD版を放映。
うち、ジョン・ソウが演じたのは、#07「ウッドストック行最終バス」(「Last Bus To Woodstock」1988/03/22)~#33「悔恨の日」(「The Remorseful Day」1999/11/15)。
1990年、CWA会員投票「英国人気ナンバー1探偵」第1位に選ばれるなど、シャーロック・ホームズと並び高い人気に躍り出た。
1993年、英国視聴率第1位を獲得。
2001年、終作の「悔恨の日」がBAFTAのTV部門で一般投票によるLEW GRADE AWARDを受賞。併せて主演ジョン・ソウがBAFTAのフェローシップ(評議員)・・・英国アカデミー最高賞を受賞。
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主人公の主任警部モースE.Morseは、
オックスフォードシャー・キドリントンのテムズ・バレイ警察本部犯罪捜査課(CID)所属の主任警部(Chief Inspector)。
オックスフォードシャー・キドリントンのテムズ・バレイ警察本部犯罪捜査課(CID)所属の主任警部(Chief Inspector)。
生年月日は不明、星座はてんびん座。
探検家キャプテン・ジェームズ・クックを尊敬する賭博好きでタクシー運転手の父親と、クエーカー教徒でおとなしい性格の母親(早くに他界)。
探検家キャプテン・ジェームズ・クックを尊敬する賭博好きでタクシー運転手の父親と、クエーカー教徒でおとなしい性格の母親(早くに他界)。
モースのファーストネームEは、父親が英雄視していたジェームズ・クックの乗艦エンデバーEndeavour号に由来する。
E.Morseに、rを足すとremorse(悔恨)となって、終作を暗示していた。
1998/8/13(木)、オックスフォード市ジョン・ラドクリフ第2病院心臓治療室において死亡。死因は重度の心筋梗塞と腎臓機能停止。
18歳時に陸軍徴兵・通信隊所属、18カ月後に除隊。
オックスフォード大学セント・ジョンズカレッジ文学部。最初の2年間は文学士の第1次試験で第1級を獲得。しかし3年目に恋愛に溺れて成績急下降、奨学金を打ち切られ、学位取得の本試験に不合格。失意のうちに退学。
父の勧めで警察入り。
若手の時期から数々の難事件を解決し、同僚からは一流の事件解決力を持った有能な警察官として一目置かれる。
その推理手法は、科学的思考からではなく思い付き・閃きの直感。それ故、失敗も多く二転三転の試行錯誤を重ねた挙げ句に収束させる。
その推理手法は、科学的思考からではなく思い付き・閃きの直感。それ故、失敗も多く二転三転の試行錯誤を重ねた挙げ句に収束させる。
聞き苦しい(質の悪い)文法のサウンドを嫌い、言葉遊びを含んだウイットな話術を好む。
有能故にコミュニケーション面で難があり周りもまた馴染めない。
従って、ノンキャリアとして出世頭だが警察組織の中ではアウトサイダー的な存在。
従って、ノンキャリアとして出世頭だが警察組織の中ではアウトサイダー的な存在。
住居はバンベリー・ロード。
生涯独身で妻子はない。唯一の親類、叔母グラディスが97歳で他界し、天涯孤独。
生涯独身で妻子はない。唯一の親類、叔母グラディスが97歳で他界し、天涯孤独。
中背だが肥満が目立って来ている。
頭髪は薄くなっているが英国紳士が好むハットは愛用しない。
髪も銀色から白髪になっているが染めない。
髪も銀色から白髪になっているが染めない。
瞳の色は冷たい印象を与えるブルーである。
得意なものは、古書・故事からの引用と言葉遊び、そして英国インテリに有り勝ちな皮肉(トゲ)。
暇さえあればクロスワードパズルを解いている。
暇さえあればクロスワードパズルを解いている。
愛車は、レッドの1960年型ジャガーMk-2 2.4サルーン (原作では調子の悪いキャバリエ)。
運転技術は雑に飛ばすので悪い。
運転技術は雑に飛ばすので悪い。
クラシック音楽をこよなく好む。リヒャルト・ワーグナー、特にヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮を愛する。モーツアルトも好き。
酒好き。ランチは液体摂取が主体。行きつけのKing's Arms (キングス・アームス)などのパブに出入りすることが多い。
ビールはビター系の地ビールReal Aleなど。ウイスキーはシングルモルトのグレンフェディック12年が好み。ワインにもうるさい。
ところが、酒代は部下のルイスに払わせることが多く、偶に「返す」とか「おごる」とか言うと皆が驚く。この辺は実に品格が落ちる。
女好きで、美人や年下の女性には恋心を抱き惚れやすい。
女性の方もモースの持つ魅力に惹かれるパターンが多い。
女性の方もモースの持つ魅力に惹かれるパターンが多い。
年下の美人に恋心を抱きやすい。
その他の嫌いなものは、yuppies(若年セレブ)、血、高所。
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好対照の相棒、部長刑事ロバート・ルイスLewisを演じるのは、ケヴィン・ウェイトリーKevin Whately (声・岩崎ひろし)。
ニューカッスルの出身。
愛妻家で誠実。
変人モースに振り回されながらも、為人(ひととなり)を理解し事件解決能力を尊敬している。モースの推理が進むよう意見を出したりもする。
愛妻家で誠実。
変人モースに振り回されながらも、為人(ひととなり)を理解し事件解決能力を尊敬している。モースの推理が進むよう意見を出したりもする。
酒代をとかく払わされるのは痛い。
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