NHK-G特集ドラマ
「眩(くらら)~北斎の娘~」
初放送 2017/09/18(月)21:30~20:43
再放送 2017/10/07(土)16:45~17:58
再放送 2018/03/09(金)22:00~23:13
漸く再放送を観た。
阿修羅の如き父娘の壮絶なバトルがか弱く、物足りない感覚が残った。
■ 概要
アメリカの有名雑誌が選定した「この千年でもっとも重要な功績を残した100人」。そこに日本人として唯一選ばれた「葛飾北斎」。
その天才画家・北斎を陰で支えつつ、晩年には独自の画風にたどり着いた北斎の娘「お栄」。
お栄の半生にスポットを当てた、直木賞作家・朝井まかて氏の小説『眩』を4Kドラマ化。
大河ドラマ「篤姫」(2008年)以来9年ぶりの共演となる、宮﨑あおいと長塚京三が画家の父娘を演じる。
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■ スタッフ
原作: 朝井まかて「眩(くらら)」
脚本: 大森美香
演出: 加藤拓(NHKエンタープライズ)
音楽: 稲本響
美術: 稲葉寿一
撮影: 相馬和典
編集: 掛須秀一
映像技術: 関口寛子
VFX: 森大樹
衣装デザイン: 伊藤佐智子
特殊メイク: 江川悦子
時代考証: 大石学
美術考証: 浅野一剛、日野原健司
浮世絵指導: 向井大祐
制作統括: 佐野元彦(NHKエンタープライズ)、中村高志(NHKドラマ番組部)
制作: NHKエンタープライズ
制作・著作: NHK
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■ 撮影協力
茨城県茨城町、千葉県立房総のむら、千葉県我孫子市、山梨県山中湖村、他。
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■ 受賞:
平成29年度(第72回)文化庁芸術祭 テレビ・ドラマ部門 大賞・・・「登場人物の所作や言葉遣いなど演出にリアリティーがあり、完成度が高い」との評価を受けた。
平成29年度芸術選奨文部科学大臣新人賞 放送部門(加藤拓)
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■ キャスト
宮﨑あおい: お栄(えい)こと葛飾応為(おうい)
・・・葛飾北斎の三女。一度は絵師に嫁ぐものの、夫より自分の絵を優先する態度が災いし父の元に出戻る。その後は北斎の最晩年まで二人三脚で北斎の画業を支え、北斎亡き後も死ぬまで絵師として生涯を全うする。江戸の火事を観察することと酒が大好き。
長塚京三: 葛飾北斎
・・・今や世界にその名を残す天才絵師。当時も浮世絵の大家として多くの門人や門弟を持ち、創作意欲旺盛で驚異的な数の傑作を世に残した。百歳を超えるまで画業を追求することを願い、晩年は自ら "画狂人" と称した狂気の天才画家。
葛飾北斎「自画像」
余貴美子: 小兎(こと)
・・・お栄の母。先妻を亡くした北斎に後添いとして嫁ぎ、お栄と弟・崎十郎を産む。描くこと以外に無頓着な北斎とお栄を理解できず、娘の人並みな幸せを願うが、「おとっつあん、頼んだよ」と病死する。
松田龍平: 溪斎英泉(けいさい・えいせん)こと池田善次郎
・・・美人画の名手として一世を風靡する絵師。北斎を慕って出入りし、お栄とは幼馴染のような関係。お栄は密かに想いを寄せるが、放蕩無頼、無類の女好きの善次郎は別の女(遊女)と所帯を持ち、やがて絵師をも辞めてしまう。
三宅弘城: 弥助
・・・北斎の一番弟子としてお栄と一緒に長年北斎を支える。その後絵師として独立するが、最後まで北斎に寄り添い、最後の作品となる「富士越龍図」の完成にも立ち会う。
野田秀樹: 曲亭馬琴(きょくてい・ばきん)こと滝沢馬琴
・・・多数の作品を残した戯作の大家。北斎とは長年合作し、一番多くの挿絵を描いてもらったが我の強い両者はやがて喧嘩別れする。しかし北斎が病いに倒れた時、真っ先に駆けつけたのは馬琴であった。
西村まさ彦: 西村屋与八
・・・永寿堂と号し、姓は日比野、栄寿斎とも言った。蔦重・鶴喜とともに天明・寛政期における錦絵の代表的な浮世絵の版元。それまでの美人画の判型を中判から大判に方向付けし、鳥居清長の作品を多く出版するなど美人画を制した。歌川豊国や鳥文斎栄之らを登用して行った他、葛飾北斎の風景画にも取り組み浮世絵風景画の確立に貢献している。
麿赤兒・・・医者
中島亜梨沙: お滝・・・遊女⇒善次郎の妻
越村友一:川原慶賀・・・長崎・阿蘭陀(オランダ)商館に雇われている絵師
須藤温子: 弥生・・・お栄の義妹
岡部たかし: 加瀬 崎十郎・・・北斎の次男、お栄の弟
小林優斗: 五助・・・北斎の弟子
中田絢千・・・花魁
長谷川とき子・・・茶屋の老婆
松井悠理
佐藤さくら子
小松弘奈
竹内詩乃
他
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■ あらすじ
江戸の天才絵師・葛飾北斎の三女として生まれたお栄(後の葛飾応為:宮﨑あおい)。
彼女は、町絵師・堤吉之助と夫婦になったものの、箸を持つより絵筆を持つのが好き。
父であり師である北斎(長塚京三)の元に嫁ぎ先から出戻って来た。
そこから「超えられぬ高き壁・北斎」の絵の手伝いが始まった。
そんな中、お栄は北斎の門人である絵師・善次郎(溪斎英泉:松田龍平)にだけは、苦しみや悩みを話すことができた。
それは思うに任せない、「出戻りお栄」の密かな恋心であった。
生まれながらにして北斎という大きな背中を見てきたお栄は、父・北斎を手伝う中で、「色」というものに執着を始める。
北斎という絵に魅入られた男を尊敬し、影で支える絵師として働き続けるお栄。
そして北斎の代表作である「富嶽三十六景」が完成した時にも、傍(そば)にはお栄がいた。
父が高齢となり、思うがままに筆を動かせなくなってからも、お栄は父の「筆」として「影」として北斎の絵を描き続ける。
北斎は眩しい光、自分はその影でいい。そうしてお栄は絵を描き続ける。
やがて時は過ぎ、心の中で常に拠(よ)り所であった善次郎、そして北斎もこの世を去る。
60歳を過ぎたお栄の手に残ったのはやはり絵筆であった。
そしてお栄は、一つの真実に辿り着く。
「この世は光と影でできている。影が万事を形づけ、光がそれを浮かび上がらせる」――
葛飾応為「吉原格子先之図」
葛飾応為「夜桜美人図」
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