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NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」#330 「もっと、自分を疑え~女優・宮沢りえ~」

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7/28(金)未明に再放送を観て、改めて女優・宮沢りえさんの素晴らしさを認識した。

それとは裏腹に、そんなに骨身を削って演技を追求していると、そのうち病魔に襲われやしないかと心配になった。

 


NHK-G「プロフェッショナル 仕事の流儀」第330回 

「もっと、自分を疑え ~女優・宮沢りえ~」

本放送 7/24(月)22:25~23:14
再放送 7/27(木)深夜25:25~26:14 [7/28(金)午前1:25~2:14]

【出演】

 

 

宮沢りえ (1973/4/6練馬区大泉学園生まれ)

 

吉田大八(1963/10/2鹿児島市生まれ)


【語り】橋本さとし、貫地谷しほり

 

*

 


今回の「プロフェッショナル 仕事の流儀」は、女優・宮沢りえにフォーカス。舞台「クヒオ大佐の妻」での宮沢さんにカメラが密着。
10代の頃から一線で活躍、いまや日本を代表する女優となった宮沢さんの知られざる素顔と仕事ぶりを明らかにする。

 

 

*



今回登場する宮沢さんは---
1987年、初代リハウスガールとして注目を集め一躍トップアイドルに。
10代だった80年代には映画『ぼくらの七日間戦争』で主演を務め日本アカデミー賞新人賞を受賞したほか、歌手デビューも果たし紅白にも出場。
それまでのアイドル像とは一線を画す活躍をみせた。
その後、海外移住などを経て女優としての活動を本格化。

これまで『たそがれ清兵衛』と『紙の月』、そして昨年公開された『湯を沸かすほどの熱い愛』の3作品で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。また『父と暮らせば』ではブルーリボン賞主演女優賞。そのほかにも『紙の月』で東京国際映画祭最優秀女優賞を獲得したほか『湯を沸かすほどの熱い愛』では第26回日本映画批評家大賞の主演女優賞にも輝くなど、今や日本映画界が誇る名女優となった。


 

*

 

 

そんな宮沢さんだが映画だけでなく舞台、演劇界でもその才能を発揮しており、蜷川幸雄(1935/10/15埼玉県川口市本町生まれ~2016/5/12)、野田秀樹[1955/12/20長崎県西彼杵郡崎戸町(現・西海市崎戸町)]ら数々の名演出家が手がけた作品に出演して来た。

今回、番組では今年5月~6月に上演された舞台 「クヒオ大佐の妻」 での宮沢さんに密着した。

 



1970年代から90年代にかけて自らを米軍パイロットと称し女性を騙し続けた実在する伝説的詐欺師「クヒオ大佐」。
その“妻”役を宮沢さんが演じ、クヒオ大佐をテーマにした映画『クヒオ大佐』でも監督を務め、『紙の月』で宮沢さんとタッグを組んだ吉田大八監督が今回演出を手がけた本舞台で、

稽古の初日から妥協なくひたすら「演じること」に真摯に向き合い続けた宮沢さんの演技との格闘の日々を追った。宮沢さんの演技の神髄にカメラが初密着したのだ。

カメラは稽古初日から、1か月に亘り宮沢に完全密着。ひたすら真摯に「演じること」と向き合い続ける宮沢りえ。今、大注目の女優の、真実の姿に迫る。


*

 

 




「もっと自分を疑え」という言葉は、宮沢が慕う世界的演出家、故・蜷川幸雄さんが稽古場で発した一言だと言う。

『 作品に携わると決めた以上は、ゴールは無いわけですよね。ここまで行けば100点、っていうのはないんですよ。どこまでも上を目指せる。だから、「これでいいのかな?なんかもっとあるんじゃないかな?」とずっと思っていて。あるとき、蜷川幸雄さんが稽古場で、ある俳優さんに、「もっと自分を疑えよ!」とおっしゃったんですね。その言葉が、はっとさせられたというよりは、「肯定してもらえた」っていうか。自分をずっと疑って、「それでいいのかな?」「もっとないのかな?」って、手放しで喜ぶ瞬間がずっと無いっていうか。でもそれをすごく肯定してもらった思いでいっぱいだったし、「自分を疑え」っていう言葉は、私にとってエネルギーになりましたね。』

これでいいのか、もっと何かないのか。宮沢は妥協しない。早く正解を出さない。

舞台と映画の違いの一つは、舞台の場合、初日の幕が上がるまでに比較的長く稽古を積む期間があることだ。

宮沢はその稽古の序盤においては、“正解を早く出す”ことが、良い結果に繋がらないと考える。
役者の中にある、“衝動”。
それをもとに様々なことを試し、挑むことで、より豊かなものが育まれ、生まれると考える。

「もっと失敗してみたいっていう。失敗することってすっごく恥ずかしいんだけど、役者にとっては。試してみることって、すごい人の前でやることって恥ずかしいけど、それを、えいってやってみる瞬間が。せっかくみなさんとやるときに、なんかもうちょっとこう、役者から生まれる生理とか衝動とか、そういうことで自由な時間が(あるといい)」

早く正解を求め過ぎない。役者から湧き出て来る生理や衝動が豊かなものを生む。


Q 「プロフェッショナルとは?」

A 「それはやはり“対相手”が生まれることですね。先ずは。相手に対して、本当に誠実であること。そこだけは誠実にいるっていうのが、本当のプロフェッショナル」。

最終日の舞台が終わった後、楽屋にてもう一度

A「プロフェッショナルとは?っていう質問で、あれも言って良かったなと思いますけど、やっぱりそのことに対して、身を削る覚悟がある人のことをプロフェッショナルって言うのかなって、凄い思いました。今回改めてそれを突きつけられた感じがします」。

 

 







舞台 「クヒオ大佐の妻」の概要

日程: 5/19(金)~6/11(日)

会場: 東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団、豊島区西池袋1-8-1) シアターウエスト

主催: ヴィレッヂ/WOWOW

作・演出: 吉田大八

出演: 
宮沢りえ(早川夏子)
岩井秀人(今井)
川面千晶(佐知江)
水澤紳吾(シンイチ)


あらすじ:
 

時は2003年頃。舞台は、築45年のとあるアパートの一室で一日中、自宅のミシンを踏む早川夏子(宮沢りえ)。仕立て直し、丈直し、縫い物など、若い頃に身につけた洋裁の腕を頼りにし、生活を成り立たせている。

その部屋に荷物を定期的に届ける、宅配便屋。或る日、やって来た宅配便屋がなんと偶然、高校時代の同級生の今井(岩井秀人)だった。彼はなぜか夏子の家に上がり込んで根掘り葉掘り彼女のことを聞く。実は彼は、作家志望で、処女作のための取材活動をするうち、夏子の夫が“クヒオ大佐”だという噂を耳にしていた。この近所でツケを踏み倒しまくり、そのたびに綺麗な奥さんがあちこちの店を謝って回っている、と。だが、夏子が語るクヒオは結婚詐欺師ではなく、あくまでもアメリカ空軍のジェット機を操縦するパイロットで、アフガン、イラク、ソマリア、ハイチで戦い続けているために忙しくてなかなか帰宅ができないのだという。もはや既に狂気にとらわれてしまっているのか、はたまた単に嘘をついているだけなのか・・・?

夏子の話を聞いているうちに、今井の言動も徐々に変化して行く。

そこへさらに、新たな訪問者が現れる。かつてクヒオに騙されて全てを捧げた女。また別の、そういう女の父親。クヒオの部下だったという男。彼らは彼らなりの理由で、その狭いアパートの一室を訪れ、クヒオ大佐の妻である女に挑みかかる。そんな中、妻がひたすらクヒオを信じて待つ気持ちが爆発的に化学反応を起こし、その部屋はさまざまな奇蹟で満ちて行く・・・。

夏子の部屋の押し入れに猿轡(さるぐつわ)をされた若い女性・佐知江(川面千晶)が閉じ込められていた。夏子が睡眠薬を入れたお茶を飲ませて眠らせ、縛ったのだ。飛び出して来た佐知江は夏子の夫に騙された、結婚詐欺に遭ったと言う。夏子の夫、クヒオ大佐は1980年代に何度も逮捕されている結婚詐欺師の日本人なのだ。夏子はそれを知っている筈なのに、相変わらず「イラク戦争が始まり、夫はサウジアラビアにいます」と真顔で答える。

夏子に懐いている同じアパートの少年シンイチ(水澤紳吾)の母もまた、クヒオ大佐と関係を持ち、シンイチが1歳の時に夫(水澤紳吾)を捨てていた。
夏子にはクヒオ大佐から電話が掛かって来るタイミングが分かる。「プルルル~」という音が鳴る前に電話の受話器を取ると、彼からなのだと言う。ほぼ一方的に話し続ける夏子は、喜びで興奮状態。しかし、どうやら一人芝居。


佐知江は同じ男に騙された者同士である夏子と、或る程度の和解をして地元の石川県に帰った。

今井は夏子とクヒオ大佐のことを最初から知っており、自分の処女小説の題材にしようとしていたのだ。夏子に無理やりインタビューを始める今井だが、徐々に立場が逆転し、夏子に問い詰められるようになる。今井は佐知江にアメリカ人が嫌いだと公言していた。「お前がエディー(クヒオ大佐の偽名)に惚れたのはアメリカ人だからだろう」「この(アメリカへの)呪いは1世紀や2世紀では解けない」など。そんな今井に対して夏子は、アメリカを擁護して日本と日本人を批判する論調に。夏子は今井の服を脱がして、自分も脱いで行く・・・。

 

 

*

 

 

【感想】

日本帝国陸軍による侵略の罪悪に対する、中国・朝鮮はじめアジアからの怨念は、戦後70余年を過ぎても消え去ろうとしない。

一方、宣戦布告をしなかったハワイ真珠湾に対する奇襲攻撃~沖縄玉砕~無条件降伏によって、米軍による広島・長崎への原爆投下さえも戦勝国正義となったまま、戦後70余年を過ぎても米英は世界で君臨している。

戦争とはこうしたものなのだ。

 

ありとあらゆる犠牲の上に、醸成し培って来た「戦争放棄」「平和憲法」の国体を、歴史に名を残そうと焦る総理に壊されようとしている。そして"ならず者"の米国大統領や北朝鮮将軍の軍備エスカレーション誘導にまんまと乗ってしまいそうな危険に晒されている。

平和外交とはか弱いものであるが捨てたらお終いだ。

 

そんなことを考えさせてくれた。


 


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