■ 6月5日は「芒種(ぼうしゅ)」
「二十四節気」の第9番目に当たり、定気法では太陽黄経75度の時で、今年2021年は6月5日(土)。
期間としての意味もあり、この日=6月5日(土) ~ 次の節気「夏至」前日=6月20日(日)。
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□「芒種」の由来
「芒(のぎ)」とは、米・麦などイネ科植物の実を包む「穎(えい)」、即ち籾殻(もみがら)の穂先に有る棘(とげ)状の突起のこと。「芒種(ぼうしゅ)」とは、芒を持った穀物の種を蒔(ま)く季節のこと。
江戸時代の暦の解説書『こよみ便覧』には「芒ある穀類、稼種する時なり」と記され、農家が米の田植え、麦の刈り取りなどで多忙となる時期。但し現在の新暦では種蒔きはこれよりも早い。
▽ 「イネ科植物」のマイギャラリー
麦秋 都市農業公園20210430
稲穂とイナゴ 都市農業公園20201022
平年では西日本が梅雨入りする時期に当たるが、昨年2020年は6月10日頃(平年より約4日遅れ)、今年2021年は5月15日頃(平年より約21日早い異常さ)。
尚、東日本は未だ梅雨入りしていないが、今日・明日辺りに梅雨入りすればほぼ平年並みとなる。
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□「七十二候」
「二十四節気」を更に約5日ずつ3分化した期間。
日本では、古代中国で定められた「七十二候」が、江戸時代に暦学者の渋川春海らによって日本の気候風土に合うように改訂され『本朝七十二候』が作成された。
そして近代の1874年(明治7年)に明治政府によって『略本暦(りゃくほんれき)』が作成された。
▽ 初候(6/5~9)
「螳螂生(カマキリ生ず)」・・・昨秋に産み付けつけられた卵からカマキリが誕生し、害虫を捕まえてくれる頃。
▽ 次候(6/10~15)
「腐草為蛍(腐れたる草ホタルとなる)」・・・野原の腐り掛けた草の下で蛍が誕生し、暗闇に光を放ちながら飛び交う頃。
▽ 末候(6/16~20)
「梅子黄(梅の実黄ばむ)」・・・梅雨に入った後に梅の実が薄黄色に熟して色付く頃。
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□ 「この季節の花」のマイギャラリー
▽ 紫陽花(アジサイ)
梅雨時を象徴する日本固有(日本原産)の花。「万葉集」(平安初期の延暦期に完成) に僅か登場したが、色が変わりやすくて実を結ばない花として不人気となった。
しかし鎌倉時代には園芸化され、江戸時代には人気の庭園植物となった。
金沢犀川河畔20160619
赤坂/檜町公園20190614
▽ 桔梗(キキョウ)
古来より美しいとして鑑賞されている日本~東アジア原産の花で、「万葉集」に「秋の七草」の1つとして「朝貌 (阿佐加保、アサガオ)」の呼称で詠まれた。かなり早くから園芸種が成立していたが明治時代には減少してしまった。
根は太くサポニンを含有しているため漢方薬(咳止め、咽喉の痛みや化膿止め)、石鹸代わりとして利用される。朝鮮ではトラジと称して多く食用されている。
皇居東御苑20150611
向島百花園20180609
▽ 石榴(柘榴、ザクロ)
西南アジア(トルコ・イラン・ヒマラヤなど)原産の花というのが有力説。灰褐色の樹皮と新緑に鮮やかな朱色の花が映え、庭木などの観賞用に栽培されたり、赤く半透明な果実は食用にされたり人気がある。
上中里/平塚神社20160614
大横川親水公園20180606
▽ 夏椿(ナツツバキ)=沙羅(シャラ)、姫沙羅(ヒメシャラ)
日本~南朝鮮原産の花。ザクロやサルスベリと似たツルツルした樹皮に白い花が麗しく、庭木などの鑑賞用に栽培されている。ツバキと異なり秋には落葉する。
皇居東御苑20150611
駒形2丁目20160608