Quantcast
Channel: ちとちのなとちのブログ
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2687

「ボストン美術館の至宝展2017」事前スタディ

$
0
0

 

芸術の秋に先駆けた大美術館展。事前スタディをしてみた。

 

ボストン美術館の至宝展 ― 東西の名品、珠玉のコレクション」

 



「ボストン美術館の至宝展」ホームページ



■ 関連ブログ

4/20(火)六本木・森ACG「ボストン美術館展」(2010-04-21)
「ボストン美術館展」(2012-04-02)
「ボストン美術館 浮世絵名品展 北斎」を鑑賞(2014-09-17)



■ 概要


会場: 「東京都美術館」 企画展示室 (台東区上野公園8−36)

会期: 7/20(木)~10/9(月・祝)
但し、8/14(月)・9/18(月・祝)・10/9(月・祝)を除く月曜日、9/19(火)は閉室。
      尚、7/31(月)9:30~16:00は、「ボストン美術館の至宝展」キッズデー

時間: 9:30~17:30
但し、7~8月の金曜日は9:30~21:00、9~10月の金曜日は9:30~20:00

主催: 東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、朝日新聞社・テレビ朝日・BS朝日 

後援: 米国大使館



■ 巡回

□ 神戸会場
 
会期(予定):10/28(土)~2018/2/4(日) 
会場:「神戸市立博物館」 (神戸市中央区京町24)

□ 名古屋会場 

会期:2018/2/18(日)~7/1(日) 
会場:「名古屋ボストン美術館」 (名古屋市中区金山町1-1-1)




*



■ 見どころ


ボストン美術館・・・1876年に開館。国や州の財政的援助を受けずにコレクションの拡充を続けて来た。現在は世界有数となる約50万点を所蔵。

本展のような幅広い内容を総合的にご覧頂く展覧会は、日本では約40年ぶり。
主要なコレクションから選りすぐった珠玉の80点・・・古代エジプト美術・中国美術・日本美術、フランス絵画・アメリカ絵画、版画・写真、現代美術。




□ 1章 古代エジプト美術

三大ピラミッドが建つギザで発掘された王の頭部や、墓からのレリーフ、ヌビアの王の立像、ジュエリーなど、ボストン美術館とハーバード大学による共同発掘調査の成果。

《ツタンカーメン王頭部》エジプト新王国時代第18王朝ツタンカーメン王治世時の紀元前1336~1327年、砂岩、Museum purchase with funds donated by Miss Mary S. Ames 

 


この王頭部に名前はないが、第18王朝の若き王ツタンカーメンと考えられている。王はネメス頭巾をかぶり、額にある縦の溝にはウラエウス(蛇形記章)があったとされている。頭巾の上には、上下エジプト統一の象徴である二重冠の赤冠の一部が残っている。アーモンド型の眼、官能的な唇―その魅力的な顔立ちは、1922年に「王家の谷」で発見された黄金のマスクに似ていることが指摘されている。

《センカアマニスケンの彫像》ヌビア・ナパタ時代センカマニスケン王治世時の紀元前643~623年、花崗片麻岩、Harvard University - Boston Museum of Fine Arts Expedition 

 



《メンカウラー王頭部》エジプト古王国時代第4王朝メンカウラー王治世時の紀元前2490~2472年、トラバーチン(エジプト・アラバスター)、Harvard University - Boston Museum of Fine Arts Expedition 

 



《縛られたオリックス型の壺》ヌビア・ナパタ時代の紀元前7世紀初期、トラバーチン(エジプト・アラバスター) 、Harvard University - Boston Museum of Fine Arts Expedition





□ 2章 中国美術

中国美術コレクションは幅広い年代の絵画、陶磁器、彫像、装飾品など約9千点。その中からボストン美術館が誇る北宋・南宋絵画の名品を厳選。

陳容《九龍図巻 (部分)》南宋1244年、一巻・紙本墨画淡彩、Francis Gardner Curtis Fund 

 

 

約10mに及ぶ長大な画面に描かれた九匹の龍。沸き立つ雲と荒れ狂う波のなか、あるいは悠然と飛翔し、あるいは佇むさまを粗放な筆墨で描き出している。作者の陳容は南宋末期に活躍した画家で、特に龍図を得意としたことで知られている。なかでも本図は、かつて清朝の乾隆帝も旧蔵した龍図の名品である。

徽宗《五色鸚鵡図巻》北宋12世紀初期、一巻・絹本着色、Maria Antoinette Evans Fund

 




□ 3章 日本美術

約10万点に及ぶ日本美術コレクションの形成にはモース、フェノロサ、ビゲローら日本を愛したコレクターたちが大きく貢献した。
初めて里帰りを果たす作品も含めた江戸美術の優品。


曾我蕭白《風仙図屏風》江戸時代1764年頃、六曲一隻・紙本墨画、Fenollosa-Weld Collection 

 

 

勢いよく渦を巻き、強風を呼び起こす黒雲。あるいは龍の存在を示唆しているのだろうか。荒れ狂う波濤、揺れ動く木々のなか、剣を持つ男が橋を挟んで黒雲に対峙している。緊張感ある攻防の後方には、風に吹き飛ばされた滑稽な表情の男たち。その後ろには白と黒の兎のつがいがひっそりと姿を見せている。墨の濃淡、線と面、緊張と弛緩、大胆さとユーモアを巧みに織り交ぜた、蕭白の代表的作品。

野々村仁清《鳥形香合》江戸時代17世紀、一合、Morse Collection. Museum purchase with funds donated by contribution 




喜多川歌麿《三味線を弾く美人図》江戸時代1804~06年頃、一幅・絹本着色、Fenollosa-Weld Collection 

 



酒井抱一《花魁図》江戸時代18世紀、一幅・絹本着色、William Sturgis Bigelow Collection

 


英一蝶《涅槃図》江戸時代1713年、一幅・紙本着色、Fenollosa-Weld Collection 

 



幻の巨大涅槃図、奇跡の里帰り 
英一蝶(1652~1724)は江戸に生きる人々の風俗画を得意とした一方で、仏画も多く手がけたことで知られている。釈迦の入滅の様子を描いた《涅槃図》は一蝶による仏画の大作であり、江戸時代の仏画の代表作だ。画面だけでも高さ約2.9m、幅約1.7m、表具を含めれば高さ約4.8m、幅約2.3mにも及ぶ大きさに圧倒されることだろう。涅槃に入る釈迦と悲しみにくれる菩薩、羅漢、動物たちを鮮やかな色彩で大画面に描いており、一蝶の力の入りようが伝わってくる。本図は、1886年(明治19年)以前にフェノロサが購入してからはボストン美術館で収蔵されてきた。作品の大きさと経年による劣化ゆえ、同館でも25年以上にわたり公開が実現できなかった。本展での公開に際して、画面の折れや亀裂、汚れ、糊離れなどを改善するために、約170年ぶりに本格的な解体修理が行われており、約1年に及ぶ修理作業の一部は、日本絵画の修理現場を来館者に紹介することを目的として、ボストン美術館の展示室で公開されて来た。
このたび、《涅槃図》は初めて里帰りを果たす。海を渡ってから、その作品を実際に見た人は極僅か。江戸時代の人々が祈り、想いを馳せた、一蝶による幻の巨大涅槃図は必見である。



□ 4章 フランス絵画

ヨーロッパ美術コレクションの中から、世界的に名高い19世紀フランス絵画のコレクション。
バルビゾン派、印象派、ポスト印象派の絵画は、ボストン市民の好みを色濃く反映するものである。


クロード・モネ《睡蓮》1905年、油彩・カンヴァス、Gift of Edward Jackson Holmes

 


印象派を代表する画家モネ(1840~1926)は、1890年代から「積みわら」や「ルーアン大聖堂」、そして「睡蓮」などの連作を手掛け、同じ主題を繰り返し描きながら、天候や時間帯によってさまざまな表情をみせる対象を捉えていった。この《睡蓮》では、水平線はなく、モネの視線は水面に集中している。しかし、画面の下から上へと遠ざかるように奥行きを感じさせる睡蓮や、水面に映る空と岸辺の木々が、絵画の外に広がる無限の空間を想像させてくれる。1909年、パリで開催された48点の「睡蓮」による「睡蓮――水の風景」展で発表された本作は、すぐにボストンのコレクターに購入された。

クロード・モネ《ルーアン大聖堂、正面》1894年、油彩・カンヴァス、Juliana Cheney Edwards Collection

 



ポール・セザンヌ《卓上の果物と水差し》1890~94年頃、油彩・カンヴァス、Bequest of John T. Spaulding

 


ジャン=フランソワ・ミレー《編み物の稽古》1854年頃、油彩・カンヴァス、Bequest of Mrs. Martin Brimmer

 


エドガー・ドガ《腕を組んだバレエの踊り子》1872年頃、油彩・カンヴァス、Bequest of John T. Spaulding

 



フィンセント・ファン・ゴッホ《郵便配達人ジョゼフ・ルーラン》1888年、油彩・カンヴァス、Gift of Robert Treat Paine

 



フィンセント・ファン・ゴッホ《子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人》1889年、油彩・カンヴァス、Bequest of John T. Spaulding





□ 5章 アメリカ絵画

ボストン美術館の天井画も手掛けたサージェントの作品やアメリカ印象派の絵画など、18世紀~20世紀半ばのアメリカ絵画コレクションの一端。

ジョン・シンガー・サージェント《フィスク・ウォレン夫人(グレッチェン・オズグッド)と娘レイチェル》1903年、油彩・カンヴァス、Gift of Mrs. Rachel Warren Barton and Emily L. Ainsley Fund

 


優雅で洗練された肖像画家として人気を博したサージェント(1856~1925)。作家・詩人でもあったウォレン夫人は、光沢のあるドレスに身を包み、ルネサンスの調度を背景にその社会的地位が十分に示されている。制作後すぐにボストン美術館に貸し出されるなど公開の機会に恵まれ、洗練された技巧と内面までをも描き出す肖像画家サージェントの名声を高める作品となった。

ジョン・シンガー・サージェント《ロベール・ド・セヴリュー》1879年、油彩・カンヴァス、The Hayden Collection - Charles Henry Hayden Fund

 



ジョージア・オキーフ《グレーの上のカラ・リリー》1928年、油彩・カンヴァス、Gift of the William H. Lane Foundation 

 


トマス・エイキンズ《クイナ猟への出発》1874年、油彩・メゾナイトで裏打ちされたカンヴァス、The Hayden Collection - Charles Henry Hayden Fund

 



フィッツ・ヘンリー・レーン《ニューヨーク港》1855年頃、油彩・カンヴァス、Gift of Maxim Karolik for the M. and M. Karolik Collection of American Paintings

 




□ 6章 版画・写真

19世紀半ば~20世紀のアメリカを描いた充実した収集作品から、アメリカを代表する芸術家ホーマー、ホッパー、シーラー、アダムス4人がとらえた、人々の暮らしや自然の美しさを映す版画と写真。

エドワード・ホッパー《機関車》1923年、エッチング、Gift of Frederick G. Hall

 


1920年代以降のアメリカン・シーンを描いたホッパー(1882〜1967)は、油彩画が広く知られているが、秀でた版画家でもあり、特にアーティストとしての活動の初期に版画制作を行っている。《機関車》もその時期の作品である。機関車の存在感が際立つ構図、その先に広がるトンネルの闇と周囲との明暗のコントラストに、その後の作品に共通する特徴が見られる。

アンセル・アダムス《白い枝、モノ湖》1947年、ゼラチン・シルバープリント、Gift of Ansel Adams

 



ウィンスロー・ホーマー《海難》1888年、エッチング、Gift of W. G. Russell Allen

 




□ 7章 現代美術

同時代のアーティストの作品に常に着目して来た美術館において、成長著しい現代美術コレクションからウォーホル、村上隆をはじめ、ホックニーの色鮮やかな風景画、テイラー=ジョンソンの映像作品。

アンディ・ウォーホル《ジャッキー》1964年頃、カンヴァスに合成ポリマー塗料とシルクスクリーン、Gift of The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. with additional funds donated by the Catherine and Paul Buttenwieser Fund and Barbara Fish Lee and Thomas H.Lee

 


ウォーホル(1928〜1987)は、1960年代にスープの缶詰や著名人の写真を素材にした作品を発表し、その後のポップ・アートの隆盛を牽引した。63年に起きたケネディ大統領の暗殺事件後には、広く配信された大統領夫人ジャクリーンの写真をもとに複数の肖像画を制作し、それらを組み合わせ作品にしている。そこには事件前の笑顔のジャクリーンや葬儀の際に深い悲しみに暮れる彼女の姿が繰り返し登場した。

村上隆《If the Double Helix Wakes Up…》2002年、全体(3パネル)カンヴァスにアクリル・板で裏打ち、Catherine and Paul Buttenwieser Fund, 2002.108 Courtesy Marianne Boesky Gallery, New York 

 




*

 


■ BS朝日の特別番組


7/29(土)9:00~9:30

「木梨憲武ひとり旅 アートの街ボストンでゴッホとご対面!」

「ボストン美術館の至宝展」のスペシャルサポーターを務める木梨憲武さん。
バラエティタレント、俳優、歌手などマルチな才能を発揮していますが、なかでも、アートの創作にはユニークな目線と独特の表現が相俟って、作品の巡回展覧会も開かれ、海外でも評価を集めている。
以前から行ってみたかったというアートの街アメリカ・ボストンを初めて訪れた木梨さんは、この旅でどんな体験をし、どんなインスパイアを受けたのか・・・?
この番組は、木梨憲武さんのアートな1人旅にカメラを向け、笑いあり、驚きありのボストン旅を届ける。
さらに、美の殿堂・ボストン美術館を訪れた木梨さんが、「ボストン美術館の至宝展」の見どころも伝える!

 



ボストン美術館のスタッフの案内で、特別に美術館の裏側に潜入!
そして、今回の旅のお目当てである、ゴッホの名作ルーラン夫妻の肖像画とご対面!木梨さんはいったい何を感じるのか !?

 

 


 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2687

Trending Articles